言語のリハビリテーション
脳楽習

        

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脳リハビリテーション

 私たちの体の中では日々数万個におよぶ細胞が死滅しています.しかしたとえ新たな細胞が補充されることがなかったとしても、このことで体の機能が一方的に衰えていく訳ではなく、体の機能の向上・維持・代償が可能なことがあります.これがリハビリテーションの基本的な考え方です.
 脳においても「年齢と共に脳の機能は衰えていく」と以前は言われていましたが、近年の研究によって、他の体の部位と同様にリハビリテーションが可能であることが知られるようになりました.

ワーキングメモリー

 近年進んだ脳研究のひとつにワーキングメモリーがあります.これは脳の前頭連合野という部分に深く関わっている機能で、思考したことを一時的に保管し、次の思考につなげる役割を果たしています.これは私たちが物事を判断したり、立案したり、推論したりする時によく使われる重要な機能です.つまりヒトがヒトらしく生きていく上で、欠くことのできない働きをしているのです.

脳楽習

 ワーキングメモリーはヒトの脳機能の過程で、その目的に沿った思考の一時保管所として機能していますので、この機能を高めるためには、膨大な知識を記憶することは不必要で、むしろ短時間で遂行可能なドリルワークのようなトレーニングが有意義です.しかしながら利用者の能力レベルや目的に応じた教材の選択は多様であり、訓練者側でこれらを網羅するように教材を用意する事は困難です.また市販の教材自体が、利用者個々の目的には合っていたとしても、全体として体系化されていないのが現状です.
 「脳楽習」は言語療法のスペシャリストである言語聴覚士が中心となって作成した言語療法のオリジナル教材集に端を発します.今回教材の目的としてワーキングメモリーの向上・維持を加えて、元の教材を全面的に見直して再構成し、学習療法と言語療法の両方を目的とした教材集に生まれ変わりました.
 「脳楽習」はネットワーク上のデータとして提供されるため、前述のいくつかの問題点が解消されています.すなわち「脳楽習」の教材は要求される能力レベルがほぼシームレスに用意されていますので、利用者の能力レベルに合わせた教材の選択が可能であり、教材は随時更新されますので、学習・訓練の体系化を促進することが可能です.「脳楽習」では教材として膨大なデータを1つのシステム内で扱えますので、本などの紙ベースに比べきわめて利便性が高いと言えます.教材は汎用性の高いタブレット型の端末の利用を前提に作成されており、色彩、音、アニメーションなどが取り入れられインタラクティブに仕上げられています.ネットワーク上で提供されることを生かして、(将来的には:不要)「脳楽習」を利用する施設の間で利用者の学習履歴などを共有できるような試みも現在開発中です.
 「脳楽習」の大きな特徴の一つとして、実際に「脳楽習」の教材で学習した際の脳血流の変化を、近赤外線光分析法(f-NIRS:funcuional Near-Infared Spectroscopy)を用いて、検証していることが挙げられます.まだ検証例は少ないのですが、将来的には「脳楽習」の有用性を客観的に実証できるかも知れません.

おわりに

 駆け足で「脳楽習」について紹介しましたが、一人でも多くの方に興味を持って頂ければ幸甚です.

順天堂大学医学部リハビリテーションセンター病院リハビリテーション部長:鈴木康司医師

 

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